Bookguide by Olivier

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第3夜『愛するということ』エーリッヒ・フロム ~愛とは技術!?~

今回はエーリッヒ・フロムというユダヤ人の哲学者の著書『愛するということ』について紹介します。

おすすめポイント

この本はこのような人におすすめです!

・愛と恋の違いを知りたい人

・学術的に愛とは何かに興味がある人

・戦争下の哲学にについて知りたい人

愛の技術について

 この本のテーマとしては愛とは技術であるということが書かれています。あまりなじみのある考えではありません。そのような人向けにこの本は書かれているのだと思います。自分は愛するということはできるのだから、あとは愛する相手がほしいなあとか愛してくれさえすれば自分はそれ以上に愛してあげるのになあとか思うのは間違いであるというのがフロムの主張です。50年以上も前に書かれた本であるのに未だに色あせていない部分も多いです。
 
まず愛と恋は違うものであるというのが前提として存在します。愛とは続けるものであり、恋とは落ちるものである。そのなかで愛についての考察が初めに書いてある。その後恋人・家族などの対象別に記述があり、最後には愛という技術の修練について書いてあります。この本は人生経験によっても感じることが違う本だと思います。結婚しているのか、上司なのか、部下なのか・・・。そのため誰が読むかによって感想は変わると思います。それでも若く人生経験の浅い人にとっても一回は愛について考えることは有用なのかなと思います。

愛とは特定の人間に対する関係ではいない。愛の一つの「対象」にたいしてではなく、世界全体にたいして人がどうかかわるかを決定する態度・性格の方向性のことである。
 (76頁)

この考えなどは一般的な愛の考えとは異なっているためなじみにくいものの代表的なものではないだろうか。

他にもこのような一節もある。

“あらゆる形の愛に共通して、かならずいくつかの基本的な要素が見られるという事実にも、愛の能動的性質があらわれている。その要素とは、配慮、責任、尊重、知である。
(48頁)“

このなかに知というものがあるが、知識とか知恵といった意味の知ではない。相手のことを知るという意味の知である。どのようなタイプの愛であれ、相手のことはもうすでに知っていると過信することは多いです。恋人同士であれ、夫婦であれ、上司と部下の関係であれ。ここで、愛の能動的な性質として知があげられていることを考えると、もっと積極的に相手のことを知ろうとしなければならない。自分はすでに相手のことをすべて理解しているといった傲慢さを持ってはいけないというのがフロムのメッセージとしてあります。

 

フロムはユダヤ人であり、この本が書かれているのは第2次世界大戦前後です。そのため、神との愛に関して記述されていることは少々日本人の考えから外れていて理解しにくいところも多いです。明日どうなるかもわからない中で愛するという覚悟を決めるということが直接的に下記のように書かれている。

“愛するということは、なんの保証もないのに行動を起こすことであり、こちらが愛せばきっと相手の心にも愛が生まれるだろうという希望に、全面的に自分をゆだねることである。愛とは信念の行為であり、わずかな信念しか持っていない人は、わずかしか愛することができない。
(190頁)“

まとめ

・愛とは覚悟を持って、相手を思いやり続けるということである。

・その中で見返りを期待するものではない。