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第10夜『株価暴落』池井戸潤 ~バンカー視点での融資判断~

 

今回は池井戸潤の著書『株価暴落』について紹介します。

 

読んでほしい人

この本はこのような人におすすめです!

・銀行員がどのような仕事を行っているのか気になる人

・よくある?企業内の派閥とかが気になる人

ストーリー

とあるメガバンクの審査部というところが物語の主人公です。審査部では、基本的に業績の調子が悪い企業に対して融資を行うのかどうかを判断するという部署です。業績の悪い企業というのは当然資金繰りが厳しいことも多く、資金が途絶えてしまうと当然会社はつぶれてしまいます。銀行としては、つぶしてしまえばいいわけではなく倒産してしまった場合には貸していたお金が返ってこないということもあるので、難しい判断が求められる部署です。

 

業績の悪い企業である老舗スーパー一風堂では日常の業績が悪化していたうえに、爆破事件が起こってしまいます。当然、客足が下がってしまい業績・株価はどんどん下がってしまいます。

 

経営は再建できるのか・爆破事件はだれが行ったのか・その動機は?という部分が今作の見所です。様々な視点から少しずつ情報が小出しになるので、スピーディーに読み進めることができます。

 

 

おすすめポイント

バンカーの仕事の難しさ

バンカーという仕事がメイントピックとして登場しますが、バンカー視点の小説はあまりない気がします。

 

ほかの事業をやっている会社視点だと、調子がいいときには積極的にお金を貸してくれるが、調子が悪くなったら全然貸してくれないというような性質です。事業会社視点だとなかなか一心同体という感じは受けないと思います。 

olivier12.hatenablog.com

今作では銀行視点から見ると、ほんとにお金を貸していいのか・事業計画は実際に計画通りに進むのかという部分を考えないといけないということが見えてきます。貸し倒れに備えて、貸倒引当金という費用をあらかじめ計上しておくかなど実際に銀行側の経営にも影響が出てくるところもあります。

 

ビジネスなので、双方がwin-winとなることが理想ではあるけど、調子が悪い場合には妥協的な判断も双方に必要になるし、その選択をすることにも多くのコストがかかるということを感じました。

 

企業内の派閥

メガバンクともなると人数も多くなり、過去の大きな仕事をほかの人が担当していることもあります。上司やほかの部署の人が過去一緒に仕事をしたことがあったり、同期であったり人のつながりが多いところもあります。

 

企業内で意見が対立した際に、周りの協力を得られるかどうかという部分は上述した人間関係も考慮に入れられます。周りから見ると、それが派閥だというように見えます。今作では本当に派閥があるように描かれていますが、実際の会社で派閥があるか・派閥があるからこそ企業の経営に悪影響を与えているかとは別問題だとおもいます。